久し振りに食べたホットケーキはやっぱり甘くて、
コーヒーをブラックで飲んだのは正解だった。



『美味しかった?』


『うん。久し振りに食べたよ』


『小さい頃は食べるけど…

懐かしいよね♪

たまにすごく食べたくなるもん』



小さい頃は…という子供の頃の思い出
としてなら僕にとって懐かしいことなんてなかった。



僕は小さい頃にホットケーキを
作ってもらった記憶はないし…





でもあまりに無邪気に言うアキに

『そーだね』

と相づちをうち、

なんとなく話を合わせてしまった。




以前にそんな話を陽太にしたことがあったっけ…



僕にとって幼少期はあまり良いものじゃなかった。



あの時、陽太は黙って話を聞いて、

最期には暗い雰囲気になりそうなのを
一蹴するように笑い飛ばしてくれた。



陽太の存在はいつも僕に
”安心”をくれていた。



本人には言わないけど

陽太に出会って

僕は本当に救われたんだ…





百合と僕は似ている、と

陽太は僕にこっそり教えてくれた。



僕は不本意な顔で『どこが?』と聞くと



陽太はニヤッと笑って、


『なんでもサラっとこなすクセに、
自分に自信がないトコ。

警戒心が強いのに、寂しがりなトコ。』


『なんだ、ソレ。。。

でもアイツみたいにワガママさはないだろ?』



ふ〜ん…?と陽太は考える仕草をし、
あッ、と言って更にニヤリと笑い


『でも一番似てるのは…』


『なんだよ…?』


『俺のことが二人とも大好きなトコ?』



僕は思わず吹き出し爆笑した。



でもそんなことを言っても

そうかもな、と思わせてしまう

不思議なヤツだった。




陽太と出会って

”欠けがえのない大切な友達”

という胡散臭い言葉を初めて

あるんだなぁ、と思えた(笑)