スタンプラリーの参加賞は
単色のミサンガだった。

7色ある中から僕とアキは
二人で黄色いミサンガを選んだ。



『懐かしいなぁ。昔流行ったよな?』


『なんか今の…優ちゃんオヤジみたい』


『なんだよ…!』



若干拗ねた僕をみて
アキはクスクス笑っていた。



『あ〜楽しかった!
…それに初めてのお揃い…』


彼女は僕を見て『嬉しい』と笑った。



『まぁ、他人の何人もの人ともお揃いだけどな』



彼女は一瞬、はっとして
気づいたように目をパチクリさせ、



『もぉ〜…、
せっかく嬉しかったのに〜』


『嘘ウソ、そ〜だ!
一年の記念日には何かお揃いのものを買おう。

それまではコレ、な』



僕はミサンガを指してから
彼女に視線を戻した瞬間、少し驚いた。


なぜなら彼女の目は少し潤んでいた。



『…どうした?』


『え…?………あ!』


彼女は自分の目から少しこぼれたものに気付き
自分でもビックリしていた。



『ごめん。違うの!』


…何が違うんだ?


僕は意味がわからず、ただひたすらうろたえ、
彼女の言葉を待っていた。


『あはは…。
なんか、嬉しいのとホッとしたのと、ぐっちゃぐちゃで…』


彼女は泣きながら笑っていた。


僕は複雑で困った気持ちで
彼女の涙を拭っていると



『優ちゃんがいつか…

百合さんを選んじゃうんじゃないかって
いつも不安だったの…。

信じてないわけじゃなくて、信じてるけど…

自信がなかったの』




僕は今更ながらに自分の行動に反省した。


『アキ…ごめん!!
…本当にいつも…自分勝手で……』


『違うの!
あたしが勝手に…不安で…』



言ってる途中でまた
アキの目から涙がこぼれ落ちた。


いや、溢れでてきた。



<女の子はクサイ台詞でも好きな人からだったら゛愛してる゛って聞きたいの!!言わなきゃ伝わんないよ!!>



妹の言葉を思い出した。



そうだ…!

僕は不安にさせるだけで
何一つ大事なことは言ってなかった。


僕は彼女を抱きしめ背中をポンポンと叩いて
彼女が落ち着くのを待った。