頭の中から百合のあの笑顔と
隣に並んだ幸森さんが消えなかった。


陽太じゃない男に
笑顔を向ける彼女に


陽太じゃない男の
隣にいる彼女に


僕はどうしても納得できないんだ。




『具合悪い?』


彼女の声にハッとした。
それを悟られないように
僕は早口になっていたかもしれない。



『いや…ちょっと人に酔っただけだから』


『でも…さっきから…』


彼女の不安そうな顔がそこにあった。


なんたる失態…


今日は何がなんでも
彼女を楽しませなきゃと思っていたのに…


僕はモヤモヤしたのを無理やり奥底に押し込め、彼女をエスコートするように腰に手を添えた。


彼女が少し赤くなって
うつむく顔が僕の胸に寄り添った。



僕は彼女のこうゆうところが好きだった。



手を繋いだり、今日みたいにすると
必ず赤くなって照れてしまう。


とても可愛いんだ。


ふてぶてしいアイツとは大違い。

こうゆう女の子らしいコがいいんだよ。


もう考えるのはやめよう。

アイツが選んだことだ。