ああ、いっそのこと地獄に落としてやってくれ。

そんな言葉も、ゲンの表情を見ると吐き出すことができなかった。



「どうして、柊なんだよ」

「俺、ああいうクセの強い子好きなんだよな」

「………………ああ」



ゲンの、何とも言えないその笑みに、僕はカワイソウという感情を抱いた。

ああ、カワイソウに。

どちらが、なんて考えたくもなかった。


僕は、趣味の悪い友人に対して、哀れみを送った。


そして僕の心の中は、万歳拍手喝采感激の嵐。

どうせ柊イトイも女子なんだ。

ゲンが本気を出せば、ころっとすり替えてくれるに違いない。


僕はそこまで考えて、自分が笑っていないことに気がついた。