「おはよ、元気?」

そして、僕にキスしてから彼女は僕に構うようになった。


彼女はいわゆるトラブルメーカーというもので、近づくだけで災いが降ってくるような女だと評されていた。

そのため彼女に親友はおろか友人はいない。

休み時間はいつも読書。
そんな、孤独な優等生だ。

しかし彼女は僕にキスしてから、休み時間の行動に「僕に話しかける」を追加したようだ。

でも、僕はそれを無視していた。


こんな奴と一緒にいたら何を言われるかわからない。

無視し続けていれば、諦めるか飽きるだろう。



そう見積もって2週間経った今でも、彼女は声をかけてきている。



「おはよ」



毎朝毎朝嫌でも耳に入るその声が鬱陶しくて、鬱陶しくて。



「ねえ、おはよってば」



姿を見るだけで。

彼女のお気に入りだろう、深緑のブックカバーを見るだけで。

イライラしている僕がいた。