「おはよう、タケ」 鞄をいつものように机に無造作に置きながら沙羅がにっこり笑った。 ‐タケ…? 俺はあっけにとられて返事もせずに沙羅を傍観した。 「何?」 沙羅の何事もなかったかのような顔に、俺は聞き違いか。と思い直した。 「いや、おはよ」 「変なタケ」 沙羅はそう、悲しそうな目で呟きながら教室をあとにした。