「ねぇ、数学の宿題やって」



いつものように隣の席から俺を見上げる沙羅。



「はぁ?なんで俺が」



「前に1000円貸したとき、なんでもするって言ったじゃん」



「宿題は自分でやらなきゃ意味ないんですよー」



沙羅は不敵ににやっと笑うと

「じゃ、よろしくね」



と言って俺にノートを押し付けてどこかに行ってしまった。



「ったく、しゃぁねぇなぁ」



沙羅は相変わらず強引でちょっと変わっている。



ドアのほうに目を向けると、ゆりなと楽しそうに話す沙羅がいた。



なんだか沙羅には利用されてる感がしたけど、あの笑顔を見ると「まぁ、いっか」と思ってしまう。



窓の外に視線を移すと、ちらちらと雪が降り続いていた。



‐そういえば、もうそろそろ卒業かぁ。