部活が終わって靴箱の前に立った時はもう夜7時。


顧問に雑用を手伝わされて一人だけ遅くなってしまった。あのジジィ…


玄関に目を向けると、外はもう暗闇に包まれていた。

‐そっか、もう秋だから夜が早いんだ。


「あれッ?こーちゃん?」

一人だと思っていたのにいきなり背後から声をかけられて肩をびくっとさせた俺を見て、声の主、沙羅はケラケラと笑い始めた。


「なんだよ。沙羅か。お前もう帰ったんじゃなかったのかよ。

帰宅部はこんなに遅くまで残ってちゃいけないんですよー」


無造作に床に置いた俺のローファーの隣に沙羅がちょこんと自分のローファーを置く。


‐小せぇ。人形のみたいじゃん。


「こーちゃんこそどしたの?一人?」