誰もいない教室。    

窓からは後輩たちが白い息をはきながら、グラウンドを走っている様子が見える。


‐俺もつい1ヵ月前までは、あの中にいたのにな…



そう思うとなんだか無償にさみしくなって机に顔をふせた。





カタ…と誰かがドアに触れた音に驚いて俺は顔をあげた。



ドアのところに立っていたのは沙羅だった。



毎日見ているのに、なんだか久しぶりのように感じる、沙羅だった。



沙羅は俺と目が合うと、困ったような顔をしながら教室にゆっくり入ってきた。




「ごめん、起こしちゃった?」