「だってぇー……」


「しゃーねぇな。ほら、これやるから泣きやめ?」


「……へっ?」


リキは、あたしの目の前に、一粒のキャラメルを差し出した。


「涙が止まる、魔法のキャンディ。……覚えてるか?」


「う、うん。小さい頃、リキがあたしによくくれた……」


「これ食えば、花梨の涙はピタッと止まる。代わりに、最高の笑顔を、オレに見せてな」


そう言って、リキはあたしの口にキャラメルを放り込んだ。


甘い味が口いっぱいに広がる。


……懐かしい味。


「さて……と」


え?


リキは、あたしの両肩を掴むと、正面に立って顔を近付けてくる。


「な……なにっ!?」


「ん?いつまでもガキの頃と同じと思うなよ。ちょっと大人バージョンいっていい?」


大人バージョンって……なにっ!?