ほどよく焼けた肌に、ほどよく割れた腹筋。

ガッシリした身体つきの晃汰を見て、心臓が鳴り止む事はなかった。


そんなあたしを見て、切なそうに微笑む飛鳥の顔が、視界の端っこに映って…。

「っ!?」

だけど、飛鳥の方を向くと、もういつもの穏やかな笑顔に戻っていた。


だからあたしは、気付いていたのに、ひたすら気付かないフリをして誤魔化した。


「全員いるかー!?」

声をかけたのは、3年生の部長。

「「いまーす」」

どことなく元気のない2、3年生。

さっきからどうしたんだろう??


「じゃあ、ぼちぼち説明始めるぞー!!」

何だか部長だけは明るいまんまだし。

どういう事なんだろう??



「泳ぐ距離は、3km♪」

「「…はい??」」

何とおっしゃいました…!?

「平泳ぎで、3km泳ぐぞ♪」


いやいやいやいや!!!!それはさすがにキツすぎるよ!?!?

あのビーチサッカーの後に!?

筋肉痛どころの騒ぎじゃないっすよーっ!?


「先輩、マジなんすか??」

晃汰が近くにいた2年生の先輩にそう聞いた。

「当たり前だろ??じゃなかったらもっと元気な顔するわ…」


…!!

あの泣きそうな顔は、これが原因!?

だとしたら…相当だと思われるんだけど…。汗


普段のキツい練習を涼しい顔でこなす先輩たちが、この調子じゃ…

…あたし、生きて帰れるの??