「それ…晃に??」


…“晃”。

いつもの胡桃なら、浜口くんって呼ぶのに。


「そうだよ」

「っ…。ご…ごめ……」

「別に、謝ってほしいわけじゃないから」


あたし、何してんの??

やめてよ。あたしの口、止まってよ…!!!!

これ以上、胡桃を傷付けたくないのに…。


そう思ってても、止まってくれる事はなくて。


「あたしの事見て、馬鹿にしてたの??唯斗先輩目的でマネージャーになったとか言って…本当は嘘なんじゃないの??」

出てくるのは、胡桃を傷付ける言葉ばかり。

最低な、あたし。


「違…違うよ……!!!!」

「嫌…。聞きたくない!!」

「お願い、私の話聞いて!!!!」


胡桃の本音…本当に話してくれるの??


「嫌だ…。もう傷付きたくない」


胡桃の事を、絶対傷付けた。

だけど、これがあたしの本音だった。


胡桃の言葉を、素直に受け入れられなかった。


「もう、いいよ。ちょっと1人にさせて」

あたしはそう言って、胡桃に背を向けた。


ゆっくり歩いて、屋上の扉を開く。


「ねぇ、円…!!」


後ろから飛んでくる、大好きな親友の言葉を背に、あたしは必死に階段を駆け下りた。