――数日後。
茜はレースの模様が施されている、白い封筒を郵便ポストに入れた。
宛先は茜の実家の住所。
詳しい真実は書けなかったが、元気で生きているということを書いておいた。
隣にいたレオが、声を掛ける。
「これでいいのか?」
「うん。私ね、記憶を失っていた頃、生きてる気がしなかったの。
私が私じゃないみたいな……。
大好きな人のこと。
大好きな人と過ごした日々は絶対に忘れたくない。
例え、もう一生会えないとしても。
だからね、きっとお父さんとお母さんも私と同じように思う気がするの。
それに、私生きてるし!
大好きな人と一緒にいられることになったんだもん。
会えなくても私が幸せだってこと伝えればきっと分かってくれるよ」
茜の満面の笑顔につられ、レオも自然と笑顔になっていた。