茜はレオと日向とバドに見守られながら、今だ固く瞼を閉じていた。


時折聞こえる小さな寝息と、胸の上下運動が心の拠り所だった。


真央とヴラドは心配しながらも、全員がレオの部屋に居続けては狭苦しいだけなので、リビングにて待機していた。


漆黒の闇に終わりが訪れ、そろそろ太陽が顔を出す時分となっていた。


疲れがたまっているにも関わらず、誰も寝ようとはしなかった。


そんな時、茜の瞼がゆっくりと開かれた。


「茜っ!」


レオが叫び、身を乗り出した。


茜はゆっくりと首を傾けると、愛らしい唇を動かした。


「怜央……ちゃん?」


茜の言葉に、レオは目を見開いたまま固まった。


震える唇でやっと言葉を出す。


「茜……、記憶戻ったのか?」


茜はじっとレオを見つめ、そして力強くコクンと頷いた。