負けたと思った。


茜を想う気持ちも何もかも。


日向にとっても茜は特別な女の子だった。


命をかけて守りたいと思った。


二人が想い合っているのが分かっていたので身を引いたが、茜への想いはレオと同等だと思っていた。


けれど、違った。


レオは日向から茜に視線を移すと、レオに向かって牙を向けるように唸っている茜の頬を優しく撫でた。


「命をかけて、お前を守る」


レオは自分の首筋に爪を突き刺した。


レオの首から血が溢れ出す。


茜はその血の匂いを嗅ぎつけ、レオの首に近付いていった。


レオは茜が血を吸いやすいように身体の向きをかえ、茜を抱き上げた。


茜はレオの肩に掴まり、そして首筋に勢いよく噛みついた。