…パーーーンっ!


甲高い破裂音が響いた。


日向が驚いて目を開けると、マグマが自分の胸の前で固まり、黒い泥になって床に落ちていく。


「なんや?」


驚いているのは日向だけではなかった。


マグマを出したキルリアでさえ、目の前の光景が信じられないといった表情だった。


「お前まさか、魔力も使えるコクーンか?」


「へ? 俺?」


どうやら生死の狭間(はざま)で魔力が開花したらしい。


コクーンは本来、怪力しか能力がないのだがまれに魔力も操れる者が現れる。


魔力がないことによってヴァンパイアから見下されるコクーンにとって、魔力を操れるコクーンは指導者として崇められる。


特殊な能力を持つ彼らは広い魔界の中でも極めて少数なので、ヴァンパイアにとっても一目置かれる存在なのだ。