レオが家に戻ると、リビングにある暖炉の前で体を丸めながら暖まっている日向の姿があった。
壁面に作られた凹型の炉からは、はぜた赤い火の粉が踊っている。
日向はレオが帰ってきたにも関わらず、一度も顔を上げずにせっせと長い舌で毛繕いをしていた。
「あんまり火に近付くと、毛が燃えるぞ」
レオからの忠告を無視して毛繕いをしているが、耳がピンと張りレオの方を向いているので、しっかり聞いているのが分かる。
「なんだよ、家に入れなかったこと怒ってるのか?」
「そんなちっさいことで怒ったりせぇへん。ちょっと疲れただけや」
よく見ると日向の体が所々汚れていた。
「どこかに行ってたのか?」
「假屋崎の後おっかけてた」
その言葉に、レオの目が見開く。
「どうだった!? 何か分かったか!?」
日向は一瞬黙り込み、遠くを見つめながら言った。