「日向っ!?」


「ようやく気ぃ付いたか」


日向は満足気に微笑んだ。


バドも隣で笑っていた。


「な、な、なんで!? 
日向は人間じゃなかったのか!?」


怜央が驚いていると、バドが一歩前に出た。


「日向様はれっきとした人間でございました。
しかし、レオ様もご存知のように赤銀に胸を一突きにされ、ひん死の状態でした。
あの状態で助けるにはヴァンパイアにするために血の儀式が必要でした。

体が成熟しきっていないうちに血の儀式をするには危険が伴いますし、人間誰しも血の儀式を行えばヴァンパイアになれるわけではありません。

しかし日向様は元々素質がおありになったので問題はないと思ったのですが、あまりにも衰弱しきった状態でしたので十分に血を飲むことができず失敗してしまいました」


「俺は失敗とは思ってへんで。狼の姿も気に入ってるんや」


日向は嬉しそうに言った。