赤銀は血のように真っ赤な唇からニ本の長い犬歯を見せ、不気味に笑った。


そして、両手を組んで椅子に深く腰をかけ、語りだした。


怜央の知らないもう一つの世界のことを。


「この世には人間の知らないもう一つの世界がある。
それが魔界だ。

魔界には魔物と呼ばれる沢山の種族が存在する。
種族によってその姿形、能力は様々で、その魔物の頂点に君臨するのがヴァンパイアだ。

数多いる種族の頂点にいるヴァンパイアの中でも更に血筋や能力による身分制度があり、その最高位が王だ。

そして期間は短かったが、元魔界の王がヴラド・ツェペシュ。


お前の父親だ」


茜は目を見開いて怜央を見た。


怜央は真っ青になりながらも、震える唇から言葉を出した。


「そんなはずがない。俺の親父は人間だ」