「アレックスたちの村って、そんなに安全な場所にあるの?」

「うむ、山の頂にあるからな。それに『英雄の血族』であり、ウンディーネ(水の精霊)の加護を受けた俺もいる。
即ち魔物たちは、由緒正しき我が神聖なる故郷に恐れを成し、襲撃ができないのだ!」

「あー、はいはい」

背中からでも分かるほどの熱気を全身にほとばしらせながら、アレックスは拳を握り締めていつもの熱い口調で語った。

しかし私はそれを軽く受け流していた。アレックスとは付き合いの長いディーンを見習いつつ、この数日で彼の扱い方が多少上手くなったかもしれない。

「でも、襲われにくいっていうのも確かだな。上空から攻撃される心配はあるが、飛行型の魔物というのは滅多に地上へは降りてこない。
山頂にある俺たちの村は過去一度も、襲撃を受けたことがないらしいんだ」

「えっ、一度も!? 近くには『水の社』だってあるんでしょう?」

ディーンの言葉に、私は驚いていた。