この話は私が故郷の村を離れる時にも、父から聞かされていたことだった。

町村を襲う魔物は大抵、下位クラスである。しかも下位クラスは中位クラス以上には絶対服従だった。

魔物の世界では、弱者が強者に抗うということを全くしないらしい。つまり下にいる魔物が活発になっているのは、中位クラス以上が何か良からぬ事を企んでいる可能性がある、ということだった。

そのことも念頭に置いて魔物には十分気を付けるようにと、父からは出発する際に口が酸っぱくなるほど注意されていた。

「やっぱりそうなんだ。ウチの村も半年ほど前に襲われたのよね。話に聞けば村が襲われたのは、約50年振りなんだって」

「その点、我が故郷は安全だな。襲われる心配がない」

辺りを警戒しながら、前を歩いているアレックスが言ってきた。