「顔が?」と続けようとして止めた。

リアというのはアレックスの妹である。

今回私たちが行動を共にしている理由は、水の社へ行くついでに彼女にも会うためだった。彼らの故郷で考古学者をやっている彼女が、私たちに付けられた刻印のことも何か知っているかもしれないというのだ。

そんな彼女と、年齢(トシ)が近いということぐらいしか接点のなさそうな私の、何処が似ているというのか。

しかもアレックスの妹ということは、かなりの美少女に違いないのだ。一度も会ったことはなかったが、似ているのが顔でないことくらいは分かる。

――と、自分で言っていて何だか虚しくなってくるが。

「似ているのはアレックスへの対応の仕方、とかかな。もっともリアの場合は素手じゃなくて、トマホーク(投てき斧)なんだけど」

「ト、トマホーク…??」

トマホークが重量のある武器だということは、私でも知っている。そのようなものを一体、どのようにして使用するというのだろう。それを投げられたら誰でも――例えアレックスといえども、確実に即死すると思うのだが。