「エリスさん〜アレックスさんがいましたよ〜。でも何で僕たち〜こんな所で隠れて見ているのですか〜?」

「いや、なんだか急に他人のフリをしたくなっちゃって……」

私はモゴモゴと口の中で答えた。

あのような集団は昔から苦手なのだ。それに何となくではあるが、アレックスとパーティを組んでいると思われたくはないような気もした。

「エリス、エド、こんな所で何をしているんだい?」

聞き慣れた声で振り向けば、背後の暗がりから人影がヌッと出てきた。

あまりにもそこに溶け込んでいたために、一瞬で心臓が飛び出しそうになった。それが事前にディーンだと分かっていても、突然その格好で現れたら誰だって吃驚してしまう。


「あ……えーっと、アレックスを見つけたんだけど」

「おや、女の子たちに囲まれているのか。仕様のない奴だ。人目につかないところへ隠れていろと、言っておいたはずなんだがな」

「ディーンさんは〜今まで何処へ〜行っていたのですか〜?」

「ああ、ちょっとギルドに用事があったからね」

彼はそう言いながらスタスタと、アレックスたちのほうへ近付いていく。