『呪われたモノ』―――。


魔族とヒトの混血種を、世間ではそう呼んでいる。

その能力は千差万別。

ある者は能力がないためにその時点で殺され、またある者は一族の誰よりも遥かに能力値が高く、長(おさ)にまで上り詰めた者もいた。

混血種はある程度成長しなければ、その能力が計り知れない。未知数の者なのだ。



ルティナと最初に戦った時、並の人間よりは頭が一つ抜け出ている程度にしか感じられなかった。

つまりそれほど、強大な力はなかったはずだ。

多少苦戦するにせよ、倒せない相手ではなかった。だから能力(ちから)も簡単に手に入ると思っていた。

だが眼帯を外した瞬間、今まで感じなかった強大なモノが、そこから襲ってきた。



(人間の胎内から生まれ出でたという噂……だが一番気になるのは)

真紅の瞳。

それを見たせいで、攻撃に隙が出来てしまった。

(あの女……まさか、あの御方の眷族なのか?)