「貴様とてそのくらいのこと、既に察しておろう。
逆に妾には、今まで貴様が無駄な浄化をしていたことのほうが、理解できぬがな」

「そりゃ、どーも」

彼もまた、口端を上げた。

サラは相手から少しでもプライドを傷つけられると、聞いてもいないことをぺらぺらと喋り出す。

しかも無意識で。

思った通り、その性格はまだ変わってはいなかった。

「しかし俺としては、こんな回りくどい方法で……しかもこんな檻まで作って、俺を生け捕りにすることのほうが、余程理解できないな」

「妾は端から貴様などに、理解してもらうつもりはない」

サラは背を向けながら言葉を続けた。

「先程も言ったが、妾は利用するだけだ。
そこに個人の感情など入ってはおらぬ。何故なら」



彼女は肩越しに振り返ると、彼を睨め付ける。





「これはあの御方の……そして我が一族。
―――魔王の末裔である、我らの悲願でもあるのだからな」