「あたしは例え一時的なものとはいえ、馴れ合いでパーティを組むつもりはない。
それにあいつらといると、何故だか妙な疲労感を憶えるしな」

そう言いながら、戸口付近にいる二人へ視線を送るルティナ。

私にはその気持ち、痛いほど共感できる。

「刻印のことは確かに気をつけなければならないが、そこまで神経質になるほどのことでもないだろう。
旅に出れば少なからず、多少のリスクが付いてくるものだ」

それはここで改めて言われなくても、最初から分かっていることだった。

私だって承知の上で、故郷を後にしてきたのだ。

「あいつらもそのことについて、あんたみたいに何か特別、気にしている様子はあるかい?」

私はまだ演奏を続けているエドと、それに聴き入っているアレックスのほうを振り向いた。

「恐らくはない、わね」

二人が今までこの刻印のことで、気にしている素振りを見せたことはなかった。

するとやはり気に病んでいるのは、私一人だけなのだろうか。

「だがこちらでも、一応は調べてみるつもりだ。
誰かの掌の上で踊らされるのは、あたしも気に入らないからな。
例えそれが魔物であれ、人間であれ……な」

そう言うと彼女は、窓を勢いよく開け放った。