「もしかしてルティナ、マクガレー団長と知り合いなの?」

「もしかしなくても、昔からの顔見知りだ。
あたしはこの大陸を拠点にしているんだ。嫌でもアイツと顔を合わせることになるさ」

ルティナは再び腕を組み直すと、心底嫌そうな顔をした。

「他の術士に少し怪我を負わせたくらいで説教をするし。
魔物捕獲手順をちょっとミスっただけで、また説教。
つい最近この街でも、殺した魔物をギルドへ引き渡しに行ったら、運悪く見つかっちまってな。
街中で騒ぎを起こすなと、クドクド説教をされる始末さ」

(それは全部、ルティナが悪いんじゃ…)

喉元まで出掛かったが、怒りのオーラが全身からヒシヒシと伝わってきているので、怖くてツッコめなかった。

「大方あんたたちに同行している精霊術士も、あいつに呼ばれて、一足先に説教されてるんじゃないのか。
あの男はあんたたちの、保護者みたいなものなんだろう?」

「……確かにそうかも」

私も以前、団長の説教を受けた者の一人だ。その可能性は大いにあった。

「でも刻印のことはどうするの?
まだはっきりと効力が断定できていないんでしょう。
私たちこれから『水の社』へ向かうところで、アレックスたちの村へも立ち寄るつもりなの。
刻印のことも何か分かるかもしれないらしくて
……もしよかったらルティナも」

「断る!」

最後まで言い終える前に、あっさりと瞬殺されてしまった。