「仲間である俺には……君の役目……見届ける義務が……それが……今の俺の役目……だ……」

「な、アレックス……あんた」

「俺も……一緒に闘わせて……くれ」

何という信念、精神力だろうか。

私には信じられなかった。

それは最早、瘴気を凌駕していると言っても過言ではないのかもしれない。

しかしやはり、こんな状態の彼を連れてはいけないと思った私は、そのことを伝えようと口を開きかけた。

が、唐突にある考えが浮かんできた。



「分かったわ。それなら、あなたにも手伝ってもらうわよ」

私はアレックスの身体をそのまま背負うようにして、少しずつ歩き出す。

彼は既に自力では立てないのか、抜き身の長剣(ロングソード)を地面に突き刺して支え、杖代わりに進んでいる。



急に私の気が変わったのには訳があった。

その考えが正しいかどうかは分からない。

だが私にかけられている防御術が薄くなり、輝きも失いつつある。

既に私の時間も残されてはいないのだ。

それにまたいつ、下位クラスの魔物が現れるかも分からない。

もしかしたら、もうすぐ側まで来ているのかもしれなかった。