「……あんた、お目出度いな」

「そうだ、俺は目出度い男なのだ。
だからこそ君が何を言おうとも、俺は君の手伝いをする。
俺自身が、そう決めたのだ」

「僕も〜アレックスさんを信じています〜。
だからルティナさんにも〜ついていくです〜」

コイツらには、あたしの皮肉も通じないというのか。

本当にお目出度い奴らだ。

そして脳天気な馬鹿どもだ。

ようやく少し気力の回復したあたしは、そのまま無言で歩き出していた。

その後ろから彼らも平然と、当たり前な顔でついてくる。



「しかし問題は、エリスのことだが……」

「そうですね〜何処に居るのでしょう〜」

二人とも心配そうな声を上げていたが、直ぐに。

「ですが〜エリスさんのことです〜。きっと大丈夫ですよ〜」

「うむ、そうだな。この中には確実に居るのだ。
そのうちまた会えるだろう」

彼らは傍から見れば、根拠のない自信とともに明るい調子に戻っていた。

が、突然エドが、怯えたような声を出してくる。

「な、なんだかこの先、変な気配がします〜。
この先へは行きたくないような〜……そんな変な感じです〜」

「変な気配……うむ、それなら俺も感じているぞ」

ようやくここにきて、二人とも気付いたようだ。





この中に蔓延している気配―――瘴気の存在に。