私は眼を丸くしているルティナと、不思議そうな顔で首を傾けているアレックスの間へ、慌てて割って入った。

噛み合わない二人にこれ以上会話をさせたら、話が余計にややこしくなりそうな気がしたのだ。

「ああ、そうだったな。ではついてこい」

「うむ、了解した!」

突然一人で歩き出したルティナの後を、アレックスが足取りも軽くついていく。まるで尻尾を振りながら主人の周囲でまとわりつく、飼い犬のようだ。

そしてその場に取り残されたのは、私とエド。

「エリスさん〜どうしましょうか〜?
僕たちも行きますか〜?」

問い掛けられた私が彼を見ると、何かを期待しているような顔付きをしていた。

その瞳が分厚いレンズで覆われていても分かる。

明らかに「行きましょう! 是非ッ!!」と、力強く訴えかけている表情だ。

「全く……分かったわよ」

私はその迫力に気圧されて、渋々承知した。

それにあのアレックスを勝手に行かせたりしたら、何をするか分からないというのもあった。

彼の身に何かあれば、恐らくはディーンに怒られ……いや、それより以前から度々話に聞いているアレックスの妹、リアに殺されるかもしれない。

私は気が進まないながらも、仕方なく二人の後を追うのだった。