「エリスさんがこの前〜ネタシナ町で〜はぐれた時のことですよ〜。あの時には大変だったんですから〜あの人混みを1日中、探し回ったんですからねぇ〜」

「全くだ。一つ手前の村へ戻っていようとは、流石の俺でも予想できなかったぞ。まさか君がこれほどまでに方向音痴だったとはな」

「う……だからゴメンって、何度も謝っているじゃないのよ。それにあの時には人波に押されて、たまたま戻っちゃっただけじゃない。方向音痴とは全然違うわよ」

責めるような態度のエドとアレックスに対して、私は汗を掻きつつ辛うじて言い訳をした。

だがこれ以上の反論ができないのも事実だった。非難されても仕方がないのは分かっていたからだ。

パーティというのは当然の如く、団体行動が基本だ。一人がその輪を乱せば、他メンバーも道連れになる。

運が悪ければ一人のせいで、全滅することだって有り得るのだ。

本当なら輪を乱した者など、即見捨てるのが正解だった。

だが彼らは私を探してくれていたのだ。

あまり強い態度をとることはできなかった。不可抗力とはいえ、私はそれだけの行為をしてしまったのだから。