私がルティナの放つ鬼雪妖精(スノーデビル)のような視線に動けず、射殺されそうになっていた時。

「成る程!
魔物の術かっ!!!」

アレックスの叫び声が聞こえてきた。

どうやら説明のほうが終わったようである。私にとっては正に、天の助けだった。

すると彼は振り向いて、こちらへずんずんと向かってきた。

そしてグローブを嵌めているルティナの両手をガシッと力強く掴むと、真剣な表情は崩さずに、勢いのままで迫っていった。

「分かった、引き受けよう!」

「へっ!?」

吃驚した私は、反射的に変な声を出してしまっていた。

「ちょっ、ちょっと待ってよ!
引き受けるって、モンスター・ミストの破壊を!?」

「当然だ!」

彼は胸を張って堂々と答えた。いつもの如く、かなりやる気に満ちている顔だった。

「話に聞けばモンスター・ミストという術は、外部からの攻撃を一切受け付けないというではないか。
それを破壊し、魔物から世の人々を助けたいと願う彼女の気持ち心意気に、俺は甚(いた)く感銘を受けたのだ。
ならばそれを助け、救済をするのが、英雄としての俺の役目ではないか!」

アレックスは拳を振り上げながらいつものように、熱く演説をしていた。