無意識でやっている動作なのかは分からなかったが、無表情のままで千切っては破りを繰り返しているその行為は、端から見れば異様な姿だ。

鬼気迫るものがあって、かなり恐かった。

これはヤバイ。もしかしたら限界が来ているのかもしれない。

この状況に慣れてしまった私には、特にどうということでもなかったのだが、彼女にとってはかなりきつい状態に違いない。

取り返しがつかなくなる前に、何とか手を打たなければ。

私は気を静めるべく彼女の肩へ、そっと手を置いた。

「ルティナ、あの二人のことはあまり深く考えないで。
ほんのちょっと待ってくれさえすれば、直に終わるはずだから。
ともかく、もう少しだけ我慢して」


「は?」


懇願するかのようにお願いした私に対して、彼女は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。

今は分からずとも、すぐにこの言葉の意味が分かるだろう。

「―――…〜と、いうわけなのです〜。それでルティナさんは〜モンスター・ミストの破壊を〜僕たちに依頼してきたのです〜」

説明を始めてから5分程経過した頃、ようやく終わりそうな雰囲気になってきた。

私は安堵し、ほっと息を吐いた。

その間私とルティナは肩を並べ、無言で彼らの遣り取りをずっと見ていた。

といっても私の場合、いつルティナがキレてしまうか気が気ではなかったため、上の空で内容を全く聞いてはいなかったが。