「これは・・・!」

「もしや魔物が入り込んだのでは!?」

「ご無事ですか! 陛下!」


確かに貴重なガラスがはまっていた窓は、跡形もなく粉々だ。


しかし俺は、それ以上に気になるものを見つけてしまった。


「・・・・・おい」


それは、ボロボロの少女だった。


=======


「どうだ、娘の容態は」

「・・・あまり、おもわしくありません」


全身に酷い傷を受けた、痩せてガリガリの小柄な少女。


印象的な黒髪も、きちんと手入れしてもらってないようだ。


俺の部屋を襲った嵐(としておく)は、どうやらこの娘を捨てて行ったらしい。


騎士達は魔物じゃないかと怪しんだが、それはない。


なぜなら、この娘からは魔力が感じられないからだ。


「治るか?」

「できる限りのことは致しました。・・・あとは、この者の運次第です」


運。


俺から見れば、この娘はあまり持っていないように見えた。