「これは・・・!」
「もしや魔物が入り込んだのでは!?」
「ご無事ですか! 陛下!」
確かに貴重なガラスがはまっていた窓は、跡形もなく粉々だ。
しかし俺は、それ以上に気になるものを見つけてしまった。
「・・・・・おい」
それは、ボロボロの少女だった。
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「どうだ、娘の容態は」
「・・・あまり、おもわしくありません」
全身に酷い傷を受けた、痩せてガリガリの小柄な少女。
印象的な黒髪も、きちんと手入れしてもらってないようだ。
俺の部屋を襲った嵐(としておく)は、どうやらこの娘を捨てて行ったらしい。
騎士達は魔物じゃないかと怪しんだが、それはない。
なぜなら、この娘からは魔力が感じられないからだ。
「治るか?」
「できる限りのことは致しました。・・・あとは、この者の運次第です」
運。
俺から見れば、この娘はあまり持っていないように見えた。