膨大な魔力と完璧な制御力により、幼い頃から光帝の再来と、もてはやされてきた。


健康なまま引退した父王の跡を継ぎ、大陸を三分する王国の王となった。


まだ健康で元気な母に後宮は任せ、己は執務に専念した。


正妃はまだいない。


側室は、他の二大国から一人ずつ。


けれどどちらの姫にも、愛情が持てなかった。


王室であっても家族仲は良く、他に優れた王位継承者もいなかったため、王位争いもなかった。


大陸は平和そのもので、即位してから天災に見舞われたこともない。


今年も農作物は、そこそこ豊作らしい。


豊作過ぎても値が下がったり、関税の問題が発生するから、今年は丁度良い出来だ。


何もかも、申し分のない人生。



だが一つ問題があった。



それは、暇、というものだった。


執務室で、俺は静かに目を閉じた。