巨大な扉が自動で開き、部屋の中が目に入った瞬間、頬に生暖かい雫が付着し、何かが倒れて行くのが目に入る…



頬を拭いそれが何なのかわかると、ドキッと心臓が飛び跳ねた…

一気に血液が身体全身に回って行くのがわかる…





恐る恐るどさりと音を立てて倒れてたものへと目を向けると、そこには2人の人物が倒れていた…





うつ伏せに倒れる少女は腕や脚に酷い傷を負い、肩には何かに裂かれたような傷がある…



腹部には大きな風穴があり、脚には骨が見える程の傷を負う少年は少女を庇うように覆い被さっていた…






 「……マリン………?ライナス………?」


その2人を見た途端、シュウは掠れる声で名を呟くと、フラフラと2人に歩み寄る…





何がどうなっているのかがわからない…


これが現実なのか、それとも夢なのか…


仲間の苦しむ姿も、彼らが流す真っ赤な液体も、全てがリアルすぎて、全てが本当のようで、頭の中は混乱する…







倒れる2人との距離をゆっくりと縮めていると、部屋の奥で何かが動く気配がした…



日が当たらない場にいる為、黒いシルエットとなっているその人物…




誰なのかはわからない…


何をしているのかも、何故ここにいるのかも…



でも、そこにいる人物が、マリンやライナス、全ての仲間達を手にかけたと言う事はわかる…







 「ああ"ぁ"ぁぁぁーー!」


その黒いシルエットを睨み、唸り声をあげながら漆黒の剣を手にシュウは駆け出した…



物凄いスピードで近づくと、力強く握り締めた剣を引き、その人物の心臓を突き刺す…






避ける事もなくシュウの攻撃を身に受けたその人物…



怒りに燃えるシュウの身体に、生暖かい鮮血が飛び散った…