何かが割れる鋭い音や、重い物が倒れる鈍い音…


苦しそうに唸る声や、悲鳴に似た叫び声…




騒がしさに目を開くと、彼の紺色の瞳に映ったのは、眩しいくらい真っ白な天井…


その天井を見つめたまま数回まばたきを繰り返すと、身を起こし辺りを見渡す…




壁にはシンプルな掛け時計、本棚には沢山の本が並ぶ…

余計な物はなく、綺麗に整った部屋…


そこは、ベッドで眠っていた少年シュウの部屋である…





彼は欠伸をしながら髪をかきあげると、立てかけてあった漆黒の剣へと手を伸ばす…



その鞘を握ったと同時に、部屋の外から聞こえた物音…




不思議に思い靴を履くとドアノブを掴み扉を開く…


外へ出ようと足を廊下へ進めた時だった…




彼の目の前には、信じられない光景が広がっていた…





まず始めに入ってきたのは、すぐそばに倒れるレオンの姿…




うつ伏せに倒れた彼は大量の血を流し、助けを求めるようにシュウへと片手を伸ばしている…





目を見開き一歩後退ると、シュウはバランスを崩し尻餅をつく…




そんな彼の瞳には、廊下の無残な光景が次々に飛び込んでくる…





壁に背を付けうなだれるカナメの胸には短剣が突き刺さり、その隣には目を見開いたナツキが体を血に染め倒れていた…



背に大きな斬り傷を負ったフジは額から血を流し、血を吐くミズハの腕は変な方向に曲がっている…



眠るように倒れるレナは腹部を血に染めながら涙を流す…







大きく目を見開くシュウは無意識に真っ白である床へと視線向けると、ゆっくりと流れてくる赤黒い液体が瞳に映った…



尻餅をついたまま動かないシュウは、自分の身に近づいてくるその液体を見つめたまま動かない…






じっとそれを見つめていると、遠くから叫び声が聞こえてきた…






ハッとして顔を上げると、目の前の景色が歪み、続いて現れたのは研究室の大きな扉…



その扉の前に立つシュウは何かに導かれるように歩を進めると、部屋の中へと足を踏み入れた…