背の高い木々が立ち並ぶ道をカイリとラルフは無言で歩いていた。


そんな中、暖かい木漏れ日を頬に受け、ラルフの背で眠っていたシュウが目を覚ます。




 「………ラルフ…カイリ……?」


 「ん?起きたか?」


寝起きの瞳に2人の姿を映すと、疲れたように掠れた声で2人の名を呟く。

シュウの眠そうな声に微笑しながら、ラルフは首を捻りシュウの様子を伺った。




 「後少しで研究所へ着きます。それまでゆっくりしていて下さい。」


少し後方を歩くカイリはラルフの背から降りようとするシュウを止めると、シュウはゆっくり頷き、再び目を閉じる。






だが…




 「やっと見つけた……」


近くから聞こえた声に、閉じかけていた瞼を押し上げ空を見上げる。


そして、シュウは大きく目を見開いた。



見開いた彼の瞳に映ったのは、木の枝に腰掛けたボーイッシュな藍色の髪をした女、マーガレッドの姿だった…



カイリとラルフは、マーガレッドとその下で木の幹に背を預け立つ男、ローランを交互に睨み威嚇する。




ラルフはシュウを背から降ろし、護るようにシュウの前に立ち双剣を構え、カイリは2人を青い瞳に映したまま短剣に手を伸ばす。





 「僕、雑魚には興味ないんだ。」


マーガレッドは足をブラブラと遊ばせながらそう言うと、ローランは目を瞑り片手を挙げ指を鳴らした。


パチンッと不気味に木霊するその音に、眉間に皺を寄せながら更に鋭く睨みつける2人。




そんな2人の元に、地を這ってきた触手が物凄いスピードで忍び寄り、両足に堅く巻き付いた…


触手に気付かなかった2人は、足を捕まれ倒れると引きずられてしまう…



足に何十も巻き付いた触手へ刃で斬りつけるが、頑丈すぎて逃れられない…


剣を地に突き刺し耐えるが、止まる事もできず地に線を残すのみ…




 「カイリ!ラルフ!」


為す術もなく引きずられどこかへ消えて行く2人の名を叫び立ち上がるが、フラフラと数歩歩いた後倒れてしまい助ける事もできなかったのだった…