ケンタの部屋には、夜になると不思議なお友だちが遊びにきます。

お父さんもお母さんも知らない秘密のお友だちです。

妹のミカは、まだちっちゃいので、お友達のことはわからりません。

今夜もきっと誰かが、遊びに来るはずです。

「おやすみなさい。」

 ケンタは、お父さんとお母さんにあいさつをすると、ミカと一緒に部屋に行きました。

ミカをベッドに寝かせて、自分もベッドに入りました。

けれど本当に眠るのではなく、眠ったふりをするのです。

そうしないとお友だちがやってこないのです。

 しばらくすると、窓をコンコンとノックする音が聞こえてきました。

ケンタは、ベッドからそっと起きて、窓の所に行きました。

ボヨヨンが、窓から中をのぞいています。
ボヨヨンはふとった大きな猫です。
ほかの普通の猫と違うところは、ボヨヨンとはねることです。

ケンタが窓を開けてあげると、ボヨヨンはフローリングの床に飛び降りたかと思うと、ボヨヨーン、ボヨヨーンと二回はねて、ケンタのベッドの上に乗りました。
そして、ふかふかのからだを丸くすると、いびきをかいて寝てしまいました。

寒い日は、ボヨヨンといっしょに寝るとあたたかいので、健太はボヨヨンが大好きです。
ボヨヨンは朝になるといつのまにかいなくなっています。


 今夜もおやすみを言って、ミカを寝かせてから、ケンタはベッドに入りました。
すると今夜はペケペケがベッドの下にきています。

ケンタは、ペケペケのダンスがおもしろくて大好きです。

ペケペケは木でできた人形で、ピエロの姿をしています。
いつも、ケンタの枕の上で、いろいろなダンスをおどってくれるのです。

そのときに、ペケペケと音がするので、ペケペケと呼ぶようになりました。
お母さんに叱られたときでも、ペケペケダンスで元気が出ます。