「裏口よ。店員の私が表から店に入るわけないでしょ。ちーちゃんいらっしゃい。ゆっくりしていってね」


そう言ってもう一発ゴウさんの後頭部を殴りつける。グーで。


「なんでもう一発殴られなあかんのや! 暴行罪で訴えるぞ!」


「ちーちゃんはあんたみたいな下種と違って純粋無垢な天使(エンジェル)なの。卑猥な表現は慎め下郎」


下種に下郎と随分辛辣な言葉達だ。


というか、マミさんの目には俺がどのように映っているのだろう。謎だ。謎すぎる。


「またそうやって変なフィルターをかけよる。ちー坊気をつけろ、この女は化けの皮を被った変態さんやからな」


「ほぅ……そういうあんたは殴られるのが大好きなドM野郎ってわけね!」


再びゴウさんの悲鳴が店内に響き渡る。


自業自得ではあるけれど、マミさんちょっとやり過ぎです。


痕が目立たないようにと後頭部のみを殴り続けるマミさん。その優しさが逆に仇となっている。