は? だからなに言ってんだよ。


これじゃあまるで、


「あっ、いっけねー。ゼミにケータイ忘れてたわ。中身見られるとマズイから取りに戻るよ」


間接的に別れを告げられたってことじゃねえか。


スピカの頭を撫でると、千秋は俺に向かって軽く手を振り店から出て行く。


その間俺は自分の身に何が起こっているのか理解できなくて、千秋の言葉の意味と無理に繕った笑顔を頭の中で何度も何度も思い浮かべていた。


振られたって当然だ。俺がやったことは千秋を裏切る行為なのだから。


でもだからって、こうもあっさり手を引くのか?


こんなバレバレの嘘ついて、もう何も話すことはないってことか?


千秋の考えていることがわからない。


靄がかった心の中は、気持ちが悪くて吐き気がする。


「……なんだこれ」