千秋の視線はある一点に注がれていて、瞳に動揺の色が色濃く出ている。


なんだ? どこを見て……あっ!?


昨夜の行為を思いだし、急いで首元を隠したがもう遅い。


なんで気付かなかったんだ俺の馬鹿。マスターや常連さんも、なにか一言言ってくれれば良かったのに!


後悔と相変わらずの責任転換。でも今度は、目の前に千秋がいるから逃げ切るなんてことは出来ない。


首筋に付けられた痕が何を意味しているか。千秋だって子供じゃないからもう気付いているはず。


「あの、これはさ……」


「大丈夫」


遮るように放った千秋の言葉は、見苦しい言いわけすらさせてもらえないほど、力強くだがどこか弱弱しい物だった。


「竜司くんは接客業だし、優しくてカッコイイから、仕方ないよな」


「……仕方ない?」