昨日のことなどなかったかのように、普段通りに明るく話しかけてくれる。


逆に俺はやましいことが積もりに積もっているせいか、なにを話せばいいのか迷って口籠ってしまう。


なにか喋れなきゃいけないとわかっているのに、喉元に引っ掛かって上手く吐き出せない。


罪悪感という蓋が言葉を抑え、呻き声みたいな音しか出せなかった。


誰が見たって様子がおかしい俺に、千秋の眉が八の字に曲がる。


「やっぱり、昨日のこと気にしてるんだ」


「あっと……その……」


気にしてるけどちょっと違う。千秋の考えているそれとは違うんだ。


「あいつとは本当に何にもないんだ。太一って言って、ガキの頃からの腐れ縁っていうか、幼馴染? あいつすぐに酔うしエロ魔人だから、なんか変なスイッチ入ったみたいでさ。すげぇビビった……」


千秋が固まる。


急に黙った千秋に妙な緊張感に襲われて、罪悪感という蓋を強引に突破して「なに?」とか細い声を絞り出した。