このまま消え去りたい。いっそのことマミさんに殺してもらおうか?


あの人なら快く引き受けてくれそうだ。


まして千秋を裏切るような行為をしたのだから、命乞いをしても既に手遅れなのだろう。


……いやいや、なに馬鹿なこと考えてんだよ俺。現実を見ろ現実を。


「せめて一人でケリつけろっての」


って、ツッコミ所か違うか。ほんと馬鹿だ俺。


絶賛後悔中の俺は思考の渦に飲み込まれていたせいか、来客を告げるベルに気付かなかった。


ガタッと椅子が引かれて初めて、目の前に人がいる事実に気付く。


「あっ……」


やばっ。明らかに動揺した声だした。


千秋は困ったように微笑むと、椅子に腰かけ俺を見上げる。


「今日仕事じゃないっけ? 休みになったんだ」