「やっぱ俺って、女なんだな」


つい口から零れてしまった言葉に、太一は神妙な顔つきで首を傾げる。


なんでもないと誤魔化して、ベンチの真上にある蛍光灯に目線をやった。


こんな乙女思考、恥ずかしくて竜司くんには絶対言えない。


なんとか俺の気持ちを知られず謝る道を探すしかないか。


「ありがとな太一、ちょっとだけスッキリし」


横で潰れている友人に感謝の言葉をかけた俺は、次の瞬間世界が暗転し背中に鈍い痛みが走った。


意識が状況に追いつかず、暫しの間無心で真上にある柔らかい橙色の光を見つめていた。


やっと脳内が落ち着きを取り戻した時には、俺の視界は太一のなんともいえない表情で埋まっていた。


眉間は寄り、口を一文字に結んで、なにかを堪えているかのように潤んでいる瞳。


始めて見る旧友の表情に、俺はなぜベンチに押し倒されているのかという疑問が吹き飛んでしまった。