「どうって、よっぽどの理由がなきゃ嫌われたと思うだろ」


「そうだよなぁ……」


竜司くんも今、俺に嫌われたと思っているのだろうか。


嫌いになったわけじゃない。嫌いだから触れることを拒絶したわけじゃない。


ただ少し、恐かったんだ。


初めてのキス。竜司くんの隙をついた触れるだけの軽いキス。


たったそれだけの営みで、竜司くんに対する好きという想いが溢れて、心が一杯になって。


本当に心臓が破裂するんじゃないかと不安になるくらいドキドキして。


もっと触れたいと思った。


竜司くんの体温が匂いが雰囲気が、俺の心を乱しておかしくする。


でも俺は恋愛初心者で、好きっていう気持ちが一杯になったらどうしようもなく恐くなって。


このままじゃ俺が俺でいられなくなるような気がして、そういう甘いに雰囲気になると無意識に拒んでしまうのだ。