「あんたと付き合うことは承諾したかも知れないけど、きっとちーちゃん自身はまだ気持ちの整理はついてないわ」


気持ちの整理? どういうこと?


小首を傾げる俺に、マミさんとゴウさんは呆れたように溜息をついた。


「ちーちゃんは見た目は女の子だけど、心は男の子なのよ。男の自分が男と付き合うなんて、二次元とは違って相当な覚悟と勇気がいるのよ。あんたならわかるでしょ?」


マミさんの言わんとしていることは、なんとなくだが把握出来た。


俺も最初は千秋のことを男だと思っていた。男という前提で好きになったし、告白をした。


その覚悟と勇気は、まさに清水の舞台から飛び降りる心境だった。


でも千秋のそれは、俺なんかよりもずっと辛かったのだろうか?


「でもさ、千秋は元々女の子なわけで」


刹那、マミさんの平手打ちが炸裂した。


バチンッと鈍い音が響いて、叩かれた左頬がジンジンと痛む。


今まで鈍器で殴られたりとしていたが、今回の平手打ちは本気の一撃だった。