そんなあかりを見て

祖母は


「あかり、あんたはタケルちゃんの事、好きかい?」


と聞いた。


あかりは俯きながら


「…分からないの。
けど、なんかタケルを見ると緊張して、ドキドキバクバク震えちゃうのね。」


祖母はあかりの言葉に


「ほぉぉ〜、あのタケルちゃんにねぇ〜」

と、目を更にまん丸にして聞く。


「ちょ、タケルに失礼だよ!!
ばあちゃん!!」


「分かってるよ、タケルちゃんは良い男なんだろ?」


「…んもぉ、そうやって茶化して……」


祖母はそんなあかりの言葉にクスクスと笑う。


「…なんかね、単純に嬉しかったの。

あれだけ、屋上でばあちゃんに諭されてもね?

私、「自分なんか一人なんだ」って言うキモチが抜け切れなくて。」


「……」


祖母はあかりの言葉を黙って聞く。


「なのに、タケルはそんな自分に「ごめんな」って言ってくれた。
受け止めてくれた。
抱きしめて、心配してくれた。
自分でもわかんないけど、なんか、満たされた気持ちで一杯になったの」


「タケルちゃんで安心したんだな」


「…そう言う事になるのかな……。

そぉしたらさ、後ろで抱きしめてくれた、あったかーいぬくもり、忘れたくなくなったの」


「あんた、タケルちゃんにそんな事もされたの」


目を真ん丸にして言う。


「あはは…」

あかりは苦笑しながら、


「人の気持ちって、どう転がるかわかんないよね。

なんか、自分は過去に囚われてるのに、今、タケルにすんなり行ってしまって良いのか…。

そんな事思ってたら、タケルの事避けはじめちゃったんだ。」