その祖母の言葉に


「………え?」

と聞き返すあかり。


「さっきのあかりは鼻がピクピク動いてたんだよ。
昔のあかりが嘘つく時とおんなじ。」

あんた変わらんねぇ…と、クスクス笑う。

そんな祖母を見て、あかりは


「だから…」

(変な事言ったんだ)

そう言おうとし、ハッと口をつぐむ。


「やだなー、ホントに蚊に刺されたのよー」


心配掛けたくなくて、言うあかりの言葉に


「嘘は良いんだよ?」


と祖母は言った。



「あかりとタケルちゃんは最近良い感じだったからねぇ。

ばあちゃん、結構期待してたんだ。」


「きたっ!?」


確かに花火した夜


『チューしたんか、チュー』


なんて言ってたっけ。



「あんたらは昔から仲良しでねぇ。
ほら覚えてるか?

あんたが一番最初にこの村に来た年を」


「…え?」


断片的にしか覚えてないあかりに


「あんたら、別れ際、「嫌だ、離れたくない」っつって、遊んでた所に家出したことがあるんよ」


「…あ……」


覚えてる。

すぐに連れ戻されちゃったけど。

ずっと遊んでくれた、『タケちゃん』との逃避行。

そこで、


『あかり。ずっと一緒にいようよ。』

『…うん』

なんて話して。



祖父に空港まで送ってもらう前


誰もいないトコで


『また来いよ』

と額にキスされた。



あかりは思わず額に手をやり、カーっと赤くなる。