俯くあかりにタケルは言う。


「悪いけどな。

俺はお前の事が好きだ。

守ってやりたいと思ってるし、辛い気持ちになったら、すぐに行きたいって思ってる。」



あかりは俯いて聞く。


「けどな…けど、お前が俺を男だと見てくれねーなら、俺は引いてやる。

小さい頃みたいに、なんでも一緒に遊んでくれた俺だって、…そんな風に思うな」


タケルのその言葉を俯いて聞いていたあかりは


何か迷っている様子を見せながら、


パッと顔を上げた。


「タケル、なぁに言ってんのっ!!

私にとっては、タケルはただの幼なじみ。

だ…だから……。」


グスグスッ


涙が止まらなくなってるあかりは

「……も、もう行くねっ!!」


と、部屋を出ていこうとする。


パシッとタケルはあかりの手を掴み


「…それじゃあ、その涙、なんなんだ…?」


と聞いた。


あかりはその言葉に

「……!!!」

声にならない反応を示し

「放してっ!!」

と言い、強引に手を振り切った。


そして、襖を開け、階段をバタバタと降りて行く。


「ちょ…ちょっと待てよ!!

俺はお前が好きだっ!!

誰が何と言おうとも、お前が好きなんだっ!!」


階段の踊り場の所でそう叫んだタケル。


「な、なに、どうしたのっ!!」


ひとみや、タケルの父母がリビングから出て、

あかりを見る。


「…あ、あかりちゃ…!なんで泣いて…!?」


ひとみはあかりの手を取る。


あかりはバッと手を振り切り、


「……ほっといて下さ……!!」

と叫び、玄関を出ていく。


「あ、あかりちゃん!!」

タケルの母はあかりを引き止める。

あかりのその様子を見たひとみはトントンと階段を上がり、

呆然としているタケルの横面を


パシーンッ!!

と叩いた。